最終話
『 無と再生 』

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「食われたって何よそれ?」怪訝な顔をするミサト。
「文字通り、よってたかってあたしの弐号機バラバラにして食べやがったのよ!」悶えるシンジの腕をモノともせず、キメたまま答えるアスカ。
「どーゆう事?量産機って他の国で製造してた機種でしょ?聞いてないわよ」
「さぁ〜ねぇ、詳しい事は知らないけどアタシはボロボロ。シンジはそこでご登場ってワケよ。…あとは良く知らないけどね」呆れ顔のアスカ。
「ボッ、ボクは―」シンジが喋りだすと、手を離すアスカ。
「ボクは間に合わなかったんです。ミサトさんと別れた後、唇に血が付いてて、何だか情けなくて悲しくて初号機もベークライトでほとんど埋まってて、動かせなくて…そしたら母さんが…」神妙な顔をしたシンジにミサトも沈痛な表情を浮かべた。思い出される別れ。しかし、アスカは聞き逃さなかった。
「くぅちぃびぃるぅ〜?」
再び、ぐぃっと首を固めて横からシンジを睨むアスカ。
『『ヤバあぁー!』』固まる二人。
「ちっ違うのよぉ〜アスカ、あたしシンジ君を格納庫に連れていく途中で撃たれちゃって、倒れそぉーになっちゃった時に付いちゃったのよぉ〜」
「唇にぃ?」ミサトのフォローに、ジト目でアスカが返す。
「ちがうちがうぅ〜、ほっぺよほっぺ」手で扇ぐミサト。
オドオドするシンジの目を覗き込み、アスカは言った。
「浮気は死罪よ…」目が据わっている。
「ありゃぁ〜、早くも尻に敷かれちゃってるのねぇ〜シンちゃん」
笑うミサトがビールを開ける。乾いた笑いのシンジ。
空には二つの月が昇っていた。
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