第弐拾七話
『 月灯の下で 』
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「アスカ…」見つめるシンジの瞳に映る自分をアスカは見て、小さく頷いた。
以前であれば、幼い理性から『不潔』と言い捨てていた自分。
ゲヒルン在籍時代にドイッチュラント大学を卒業したが、男女関係への理解は頑なに変えなかった自分。
男とは父であり、拒むべき存在としか、思い込むしか無かった自分。
『これは汚れるという事だろうか?』
『…ナイン(違う)』
補完の果てに、自分はまた会うことを望んだのだ。
自分が自分であり、自分の存在を確かめるために…。
右手をシンジの頬へやり、静かに撫でる。
「好きよ…シンジ…」とささやき、軽く上体を起こしキスをしるアスカ。
呪縛たる、内なる壁は解かれた。