第弐拾八.七話『 初めての混浴 』
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「あれっ?ホントにいいの?」シンジが間の抜けた声を出す。
トイレと風呂は、女の子にとって秘密の多い場所なだけに、わりとすんなりОКが出て、不思議そうな顔をした。
「なっ、なによ?シンジが言いだしたんじゃない!?」
これまた、予想外の反応をされて赤くなるアスカ。
「べっ、別に私はどっちだっていぃーのよっ!ただ、その方が灯油の節約になるのかなぁ〜って思っただけなんだから!」ちょっと動揺する。
「それもそぉーだねぇ」シンジが爽やかに笑った。
銭湯や温泉と違い、自宅の風呂というのは独特の空間である。
そこは、極プライベートな空間であり、個室以上の意味を持つ場所でもある。
アスカは「5分たったら来て」と言って、先に入った。
「なんで?」とシンジは、素朴な疑問を口にしたが、「女の子には準備ってぇモンがあるのよ」と、アスカは煙に巻いて去っていった。
別段、大した事でもなく、先程の情事の痕跡を消しておきたかっただけなのだが、服を脱ぐのに時間がかかり過ぎて、モソモソやってる内に、
シンジが外から声をかけてきた。「アスカ?もーいいかな?」
「早っ!?あぁ〜。うん、いいわよ」アスカは椅子に脚を閉じて座り直す。
「それじゃ失礼してぇ」シンジがタオルで前を隠して入ってくる。
アスカは、入り口に背中を向けていた。その背後にシンジは座る。
「じゃあ背中から始める?」無邪気にシンジが聞くと、少し考えるアスカ。
「ん〜。ついでだから髪もやってもらうかな?」
スプーンを持ったりは出来るが、まだ指に力が入らないのだ。
「あぁ、いいよ」シンジは気楽に答える。
シャワーを手に取り、アスカの髪にお湯をかけると、シャンプーを手に付け髪を洗い始める。
「あの…?シンジさん?」何かわかっているが聞いてみる。
「ん〜?」髪をワシワシやりながら声を出すシンジ。
「なんか当たってますけど?」腰の横に、固いものが当たっている。
「いやぁ」シンジは気楽に答えた。
他人に、髪を丁寧に洗ってもらうのは心地よい事だ。それが好きな相手なら、尚更、心地よい。
シャワーが、アスカの髪のシャンプーを洗い流す。
「ん。次、コンディショナーね」
「ん?あぁ、リンスね。はいはぃ」
シンジがリンスを手につけ、髪全体を揉む。
「アスカの髪の毛って、細いよね?」シンジが嬉しそうに言う。
「そっかな?普通じゃない?…それより、シンジ髪洗うの慣れてない?」
アスカが眼を閉じたまま言う。小さな椅子の上で、脚を内股に閉じ、
両手を膝に挟む様にして、腕で胸のトップを隠す様にしている。
「そぉ?人の髪を洗うのは初めてだよ」シンジは何気ない返事をする。
「ふぅ〜ん」アスカは呑気な返事をする。アスカの気分がそう感じさせているのか、シンジの感情が思わせているのか…。恐らく両者だろう。
「うぅ〜ん」再び、髪を洗い流されて、アスカは小気味よい声を出す。
「じゃっ!いよいよお背中を…」スポンジにボディソープをつけるシンジ。
「…アンタ、みょおぉ〜に嬉しそうねぇ?」ウキウキしてるシンジに、アスカは何だか恥ずかしくなる。