エピローグ

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サードインパクトから歳月が流れた。地球の環境には再び大きな変化が訪れていた。極点地域が再び凍結を始めたためである。
いわゆる『復活者』と呼ばれる人々は、事件後続々と増え続け、約5年の歳月を要して約20億人を数えた。3年程前から頻度こそ減ったが、いまだ復活する者がいた。葛城ミサトは、再び機能しはじめた社会で、ネルフ上級将校として、その責任を問われた時期があった。今から4年前の事だ。その非難は、ネルフ総司令であった碇ゲンドウの息子であり、初号機パイロットでもあった、碇シンジにも向けられた。ネルフ、ゼーレ、委員会、他の統括者が復活しないため、矛先が彼女等に向けられたのだ。しかし、調査の結果は彼らに仇をなさなかった。

時に、西暦2020年。第2新東京市。
「なぁ〜アスカぁ、まだしたくできないの?」シンジが言う。
「はいはぃ、今出来ましたわよ。そんなうるさく言わないの」
そう言い、イヤリングを付けながらながら、リビングに入ってくるアスカ。
「今日の時間決めたのアスカなんだから、ボクらが遅刻しちゃ話にならないじゃないか」ジーンズに、ジャケットを着たシンジが呆れながら言う。
「うっさいわねぇ〜。あんたが寝起きにするから遅れるんじゃないのよ!だいたい、ミサトのマンション隣なんだから5分あれば十分よ!」
白い2ピースのスーツを着込んだアスカがバッグを取りながら言う。
「まぁいいよ。行こう」バツの悪そうにシンジが言った。
「あらホントにこんな時間だ。ヒカリもぉー来てるんじゃないかしら」
「もー5分前だからねぇ。さっきケンスケからメール来たよ」とシンジ。
「それを早く言いなさいよ」二人は家を出た。

シンジとアスカは新興住宅街の中を歩く。高層住宅用に開発された地域で、各棟の敷地はそれなりに広い。歩道には2年前に植樹された桜が満開だった。
二人は隣のマンションに入ると、オートロックの番号を操作する。
呼び出し音が鳴ると、すぐモニターが映りミサトが顔を出す。
「遅かったじゃなぁい。中鍵開いてるから入ってぇ」片手にビールの彼女。
「もぉ飲んでんのぉ?ミサトぉ」アスカがモニターに喋りだす。ミサトは手をひらひらやると、インターフォンを切る。集合玄関の自動ドアが開く。
呆れるアスカとシンジは17階の部屋へと急いだ。
「おぉ〜センセ来よったなぁ」部屋に入ると、トウジや見慣れた面々。
「アスカ元気だったぁ?」ヒカリがアスカの傍に来る。
「やぁ久しぶりだね」日向が手を上げる。
「よし!これで全員揃ったな!では、私めの敬愛する上司!葛城一佐の帰国記念パーティーを開催いたしまぁす!」軍服姿のケンスケが仕切り出す。
「青葉君は急にイギリス出張になったんだから残念ねぇ〜」とミサト。
ミサトは現在国連軍に在席し、1年半の中国勤務から帰国したばかりだ。
まずは全員が揃ったので、乾杯となった。全員にビールが回される。
「こらぁ〜!あんた達まだ未成年でしょぉがぁ!?」とミサト。
「去年の暮れから、日本も成人は18才になったのよ。3年前に公布された法律じゃない。忘れたの?」アスカがプシッとえびちゅビールを開ける。
「そぉーだっけぇ?」「人口減った分、納税者増やす口実よねぇ」とヒカリ。
「トウジ…。足の具合どぉ?ホントにすまなかったよ」シンジが気にかける。
「なぁに言っとんのやシンジぃ。使徒に乗っ取られて命があっただけみっけもんやで」トウジが笑う。彼は今公務員だ。
「でわ!不祥私めが国連空軍飛行学校伝統!コーラ1.5リットルイッキ飲みをやらせて頂きます!」ケンスケが盛り上げに入った。
昼間の酒盛りが始まった。
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