第参拾壱話
『 雨音の調べ 』

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アスカは頭の中を何かにかき回される様な、何かが切れそうな感じがして、激しく息を吸った。しかし、いくら息をしても呼吸は足りない感じで、全身が熱くなり、身体は震えているのに手足の感覚が薄れてゆく。
「ぅあっ!んっ…シンジっ!シンジぃ…」
口元を濡らしながら、アスカが喘ぐ。顔は上気し、額に汗が玉になる。
「うっ!くぅぅ!…うぁはぁぁ!」
脚に力が入り、少しでも閉じようとしながら、アスカの身体が縮む。
「ぅあああァぁぁぁっ〜」アスカが叫び、ビクンっと身体か跳ねる。
同時に、アスカの中が蠢くように収縮し、泡だったようにシンジは感じた。
衝撃的な感触に、シンジは絶頂を迎え、内部から引き抜く。
アスカの身体は、力を失いその場にクタっと崩れる。
シンジが断続的な発射に果てるのと同時だった。
「アスっ、カぁ…」
いままで感じた事の無い快感に、シンジが吐くように声を出す。
しかし、アスカは一度小さく腰がピクっと動いたったきり、動かない。
見ると、唇を少し開き、瞳を閉じてグッタリと膝を立てたままだ。
「アスカ?」シンジが荒い息のまま名を呼ぶが反応が無い。
ポタリと、肌を伝ったアスカの愛液が、床に落ちた。
アスカが目を覚ますと、シンジがのぞき込んでる顔が映った。
少し虚ろに、数秒ぼぉーっとシンジを見ていた。
「あれ…?あたし。…なに?」
眼に光が戻り、シンジが見ている事に気付き、小さな声をだす。
「気絶したみたいだね。びっくりしたよ」シンジがホッとした声を出す。
「気絶?」アスカが聞き返す。
「ほんの1〜2分だけどね。…思わず、脈調べちゃったよ」
シンジが笑みを浮かべる。アスカはゆっくりと起き上がり、息をつく。
「なんだろ?…あたしイッたの、かな?」
屈めていた身を直したシンジの身体を見たままアスカが言った。
「そーじゃないかな?すごい中動いてたよ。…気持ち良かった?」
満面のほほ笑みのシンジ。
何て事を聞くんだと一瞬たじろぐアスカ。顔を赤くして、そっぽを向く。
「ヘンタイ…」それしか言葉が浮かばなかったアスカ。
お尻の下の革の上に、水溜まりがあり冷たい。
「可愛かったよ?…アスカ」シンジがトドメを刺す。
間違いなくニヤけているシンジの顔を見るわけにいかず、避けるようにアスカはソファーにゴロンと転がる。
「ソファー汚したのシンジだからね」ちょっと怒って言ってみる。
「はいはい」わかりましたという返事のシンジ。
シンジの背後のテレビの中で、自転車が空を飛んでいた。
雨はまだ止まない。
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