第弐拾七話
『 月灯の下で 』
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『これがセックス…』僅かな快感と、痛烈な痛み。
しかし、アスカは男と女の激しい行為の中で、安堵を感じていた。
肉体の関係と呼ばれるが、心の関係ではないかと感じる。
『何回したら、イケるのかな?』やはり、痛いのは多少つらい。
アスカの気持ちは、すでに次を意識していた。
シンジは体位を変える事など考えもつかなかった。
触れ合う肌、堪えるようなアスカの仕草。声。全てに夢中だった。
アスカの入口は小さく、少し痛い程だったが、出入りを繰り返している
と、中から溢れてくる物が快感と音を増して、シンジを酔わせる。
「あっ、んぁっ!んくっ!」
部屋を支配するアスカの声に、シンジは絶頂に達した。
「あぁ〜っイク!」シンジは絞るように声を発し、身体を引いた。
引き抜かれた勢いの激しさに、「んくぁっ!」声を洩らしたアスカの腰が跳ね上がる。
「あっ!んんっ!ぅはぁ!」
引き抜かれたソレは、最後の躍動を3回繰り返して果てる。
射出された液体の固まりは、アスカの胸、へそ、そして下腹部に水溜まりの模様を描いた。
シンジは何度か長い息を吐いた。
「はぁ〜」アスカも深い呼吸を終えた時、全身の力が抜けていった。
閉じた瞳は、達成感だったのかもしれない。
シンジはアスカの脚の間に膝立ちのまま、息を落ち着かせようとした。
自然に目線が下に落ちると、白いシーツに直径10センチ程の鮮血の跡が染み込んでいた。
見れば、アスカに血を流した跡がある。
引き抜かれたシンジの物も、鮮血と、アスカの愛液で薄められたピンク色の液体が名残を残していた。
アスカは少し惚けたように、自分の胸に残されたシンジの精液を指ですくい、中指と親指で感触を見ていた。
考えてみれば、避妊をしなかった事に気付き、『まぁーいっか』と、思った。シンジが子供を拒まないなら、いてもいいと思えるアスカ。
いつまでも二人だけの世界になるとしたら、不毛に感じるからだ。
長く息を吐いて、アスカにおいかぶさるシンジ。
両手で自分の体重をセーブしながら、「痛かったかなやっぱり?」と聞く。
「痛かった」と答えシンジを見るアスカ。
「ごめん…。なんて言うかその…。素敵だった」
真顔で言うシンジ。プッっと吹き出すアスカ。
「痛くなくなるまで、練習すればいぃんじゃない?」
言葉の意味に、赤面するシンジ。
「なんかスゴかったわよ。…途中まではね」
シンジを抱きよせ唇を重ねるアスカ。
「また…ねっ?」
抱き合う二人。
月は頭上に来ていた。